機械学習の応用についての報道と批判~ディープラーニングによる気象変動予測
以下の記事について、機械学習業界からの批判がある一方で、新しい手法を応用していくことに対する専門家からの厳しい批判は、チャレンジを委縮させるという意見も散見される。
京大、ディープラーニングにより精度97%で気候変動を予測する手法を開発 :日本経済新聞
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/documents/190426_1/01.pdf
以下は、詳細に内容を検討していない私の個人的な意見である。
専門家が一見して批判的に検討する可能性のあるポイント(過剰適合などを考慮した手法の評価方法となっているか、既存の方法論との比較、等)についてカバーしたプレスリリースになっていないと、科学的に適切に評価された内容なのかどうかについて疑念を招くと思う。プレスリースに盛り込まれている素人に分かりやすいアナロジーも必要かもしれないが、一方で、気象モデリングや機械学習の専門家が評価可能な簡潔な内容を盛り込むべきだろうと思った。
専門家の皆様におかれましては、関係者の人格を尊重した簡潔な批判を行えばよいと思うのだが、素人から見ると、専門家による批判が、的を得た批判なのか、いちゃもんにすぎないのか判断するのは難しいだろうと思う。
日本の研究力低下~よりよい集中と選択の方法はあるか
日本の「研究力」の低下についての議論が報道されている。
日本の「研究力」の低下が指摘されている。その原因は何か。国が進める競争政策に、問題はないのか――。国立大学協会会長で京都大総長の山極寿一さん、国の予算をあずかる財務省主計局次長の神田真人さんに聞いた。山極さんは「研究費の『選択と集中』政策は間違いだ」と主張。これとは逆に、神田さんは「競争がなければ、日本は廃虚になってしまう」と訴える。
(聞き手 嘉幡久敬 小宮山亮磨 )
研究者側の、「研究費は広く薄く分配すべきだ」という主張は一般の人から見て分かりにくいと思われる(私自身は研究者側に近い立場)。実際のところ、研究者の世界では、研究費の審査や論文の査読プロセスを通じた研究費の配分や評価が行われており、なんらかの研究費配分のコントロール(選択と集中)が行われている。そういった背景の説明なしに、「研究費は広く薄く分配すべきだ」と言われても、ただの利益誘導のように見えて理解に苦しむし、限られた税金の配分を行う政治・行政の立場の人を説得することは難しいだろう。むしろ研究者コミュニティにおける資源配分や品質管理の努力を伝えていくべきではないか。
このような観点で、以下の近藤氏の意見は、研究者側からのとても丁寧な説明なので広く読まれてほしい。
大事なのは、非専門家の思いつきではなく、「科学者の相互評価システム」にまかせろ、ということ。
NHK reporter laughed at for asking ...
氷河期世代は「人生再設計第一世代」
メルカリに見るインド人学生の採用活動とレガシー日本企業からの人材流出
ITの分野で世界を代表する技術者を次々と輩出しているのがインド工科大学である。卒業生の就活は「超売り手市場」。23の校舎すべてで一斉に開催される就職面接会では、マイクロソフトやグーグルといったIT系に加えて金融や自動車など世界中の名だたる企業が“世界最高の頭脳”を狙って争奪戦を繰り広げる。そこに名乗りを上げた日本企業。待遇面では太刀打ちできない彼らは、どんな戦略で学生を口説き落とすのか、密着した。
メルカリがインド工科大学で行われた2週間にわたる採用イベントの第一日目に参加する権利を獲得して採用活動を頑張る話。多様なバックグラウンドをもつ優秀な人材を集めることは企業の成長にとって重要な活動になるだろうと思った。メルカリならできてもレガシーな企業には難しい活動かもしれないと感じた。
富士通などのSIerの惨状を見ていると、太平洋戦争で負けた大日本帝国を思い出す | 文春オンライン
ここで語られる「GAFAに人材流出」というのは日本企業の大テーマです。人材が逼迫し、良い人を採用するコストを会社がどう負担するのか、いままで組織で頑張ってきた人たちと、外から引っ張ってくる優秀な人たちとの賃金格差を人事体系上、組織としてどう説得力のある形で埋めていくのかというのは重要な問題になっています。
ITなら「GAFAに人材流出」なんだろうけど、とくに知識が重要な分野で日本企業がレガシーな組織を変えられず同じ問題を抱えてるかもしれない。